これまで何回も言ってきましたが、中・高齢者が記憶の機能を回復、維持、向上させるには、過去のことがらを回想することだと確信しています。
アメリカのウエブスターという心理学者がいますが、昔「私は過去を思い出すのは・・・・ためである」という形で項目を示し、“回想機能尺度”として調査しています。
これを見ると、≪回想機能尺度の8因子と項目例≫として次のようなものが挙げられますね。
【退屈の軽減】
・退屈をまぎらわせる
・することがなかったり、落ちつかない時間をつぶす。
【死への準備】
・「自分の人生を十分生きてきたので、穏やかな気持ちで死を迎えることができる。」ということを納得させてくれる。
・過去を思い出すと死への恐怖が薄れる。
【アイデンティティ】
・自分のことをもっと理解する。
・過去の自分を思い出すと今の自分が何者であるかがわかる。
【問題解決】
・現在の難問題を解決するのに役立つ。
・現在の問題を解決するスキルが自分に備わっていることを思い出させてくれる。
【会話】
・会話を楽にする。
・新旧の友人たちの間につながりを作る。
【親密さの維持】
・いなくなった人を思い出す。
・死んでしまった愛する人の思い出を生き生きと保つ。
【苦難の再現】
・昔受けた傷の記憶を忘れない。
・つらい記憶をよみがえらせる。
【情報伝達】
・若い家族に、自分が若くて今とは違う時代に生きてきた時の生活を教える。
・若い人に文化の価値を教える。
これを見ると、回想というものがさまざまなかたちで自己や自分と結びついていることがよーくわかりますね。