ライフヒストリーとは、個人が過去の生活や生き様について書きしるした“生活史”、または“個人史”のことで、これを取りまとめたものが自伝になります。
また、聞き書きとは、語り手の話を聴き、それをその人の話し言葉で書いて、活字にして後世に残すことを言います。
人にはそれぞれの歴史があります。今までは、自分で書く力がある人が残していく、あるいは功なり名を遂げた偉人のそばにいた人が書いていく、そのような人たちの自伝がほとんどでした。
しかし、それぞれの時代には他にもたくさんの人たちが生きていて、それぞれの歴史がありました。波乱万丈の人生をおくった人、面白い人生を送った人、豊かな才能を発揮した人、他とは違った考えを持っていた人、失敗を数多くした人など、いろいろな人たちがいました。
しかし、その多くは自らのライフヒストリーを自伝にして後世に残すことは叶いませんでした。
これまでは、偉人の残した言葉や行ってきた体験を文章に並べさえすれば、歴史になると思われていました。しかし、そうではないと思います。
ごく普通の人が何を考え行動してきたのか、どんな生き方や暮らしをしてきたのかを知ること、これが、みなさまのご家族やご友人、地域社会、或いは未来に生まれてくるご子孫にとって、とても大切なのではないでしょうか。
その人のライフヒストリーを文字にする機会がないままこの世から姿を消すことは、歴史の中で、いわば“空白”ができるのと同じであって、たいへんな大きな損失だと思います。その“空白”を聞き書きによって埋めていくことできるのです。