ライフヒストリー良知

1 ライフヒストリー良知とは?

ライフヒストリーとは、個人が過去の生活や生き様について書きしるした生活史、または個人史のことで、これを取りまとめたものが自伝になります。

また、聞き書きとは、語り手の話を聴き、それをその人の話し言葉で書いて、活字にして後世に残すことを言います。

人にはそれぞれの歴史があります。今までは、自分で書く力がある人が残していく、あるいは功なり名を遂げた偉人のそばにいた人が書いていく、そのような人たちの自伝がほとんどでした。

しかし、それぞれの時代には他にもたくさんの人たちが生きていて、それぞれの歴史がありました。波乱万丈の人生をおくった人、面白い人生を送った人、豊かな才能を発揮した人、他とは違った考えを持っていた人、失敗を数多くした人など、いろいろな人たちがいました。しかし、その多くは自らのライフヒストリーを自伝にして後世に残すことは叶いませんでした。

これまでは、偉人の残した言葉や行ってきた体験を文章に並べさえすれば、歴史になると思われていました。しかし、そうではないと思います。

ごく普通の人が何を考え行動してきたのか、どんな生き方や暮らしをしてきたのかを知ること、これが、みなさまのご家族やご友人、地域社会、或いは未来に生まれてくるご子孫にとって、とても大切なのではないでしょうか。

その人のライフヒストリーを文字にする機会がないままこの世から姿を消すことは、歴史の中で、いわば空白ができるのと同じであって、たいへんな大きな損失だと思います。その空白聞き書きによって埋めていくことできるのです。

普通に生きた人たちが、人生でどんな場面に遭遇し、何を考え、何に喜び、楽しみ、悲しみ、苦しみ、どんな試練を乗り越えていったのか。それらをつないでいくことによって、より確かなその人だけの歴史が創りだされます。

聞き書きというのは、話している人の言葉、口癖や語尾、言い回し、また方言などをそのまま使って、その人の息遣いや雰囲気を伝え、たいへん不思議な言葉で表現していきます。聞き書き話し言葉でもない、書き言葉でもない中間の談話体を作っていくのです。日本は伝統的に話し言葉という芸術ができていますから、その復活であるとも言えるのです。

聞き書きは、ある世代の体験、人生の知恵を、次の世代に言葉で伝えていく、そのコミュニケーションの方法のひとつです。価値観の違いによって、世代間の断絶が言われて久しいですが、言葉ではなかなか伝わらず、理解できないとき、この聞き書きによるみなさまのライフヒストリーをホームぺージの上に記載します。そして書籍や電子ブックとして出版したりすることで、それらを埋めるツールになっていくに違いありません。

聞くという行いは、記憶を呼び起こすことであると言ってもいいと思います。記憶は人間の生活にとってなくてはならないものです。昨今の脳科学の進歩によって記憶がどのようなメカニズムで人間の脳に貯蔵され再生されるのかが、かなりの部分でわかってきました。

脳の前頭葉などに貯蔵されている記憶の数々、その中でも特に長期記憶のひとつであるエピソード記憶自伝的記憶と呼ばれる記憶を、例えば、写真や映像、自然の香りや食べ物の味など五感で得られる響きを通じて、聞き書きによって呼び起こすことができるのです。

また、聞き書きしながら、脳にヒントやきっかけを提供することによって、加齢とともに衰えていく記憶力に活力を与え、認知症などの疾病の予防に寄与していきます。

さらに、最近の研究によって、昔のことを語ることは、心を浄化するカタルシスというセラピーとしての機能があることが明らかとなってきました。

人ひとりの歴史は楽しく、幸福に満ち溢れたものばかりではありません。辛く苦しい出来事があり、後悔や罪責感などにさいなまれたときもあります。それらをひとつひとつ語ることによって、心が洗われ、その意味を解釈し直して、未来への希望を抱くことができるのです。

「自分には何も話すことがない」、「あってもそれを言葉にすることができない」と思い込んでいる方も多いと思います。しかし、私たちは、様々な分野で蓄積してきた豊富な知識や経験をもとに、共感を持って、語り手である皆様の立場に立ってお聴きします。

言いたくないことやわからないことに対して、私たちライフヒストリアン良き聴き手として、みなさまの脳に貯蔵されている記憶を呼び起こしていきます。

聞き書きによって制作されたみなさまのライフヒストリーのホームページや書籍は、みなさまのご家族やご親族、また友人たちとの絆をますます強くし、それらはその家の大切な宝物になっていくに違いありません。

そして、まだ見ぬ未来のご子孫や後世へのすばらしい贈り物になると確信しています。