ライフヒストリー良知

7-2 エンディングノートと口述自伝

人生の終盤は、自分の周辺を上手に整理していくことが求められます。そのためには自分に関すること、葬儀や死後の手続きに必要な情報などを分かりやすくまとめておく必要があります。


〈エンディングノート〉は、そのために有効な手段となります。

そもそも〈エンディングノート〉とは、過去を振り返り、自分の考えやさまざまな情報を家族が困らないように記しておくためのものです。


自分の人生や普段の生活を振り返り、多くの記録や記憶を文字にしていくことは、雑多な情報や感情などをきれいに整理していくことにつながります


〈エンディングノート〉を残すことで、家族には大きなメリットが生まれます。何故なら、数多くの法的手続きや決めごとに対して悩まなくて済むからです。


人ひとりが亡くなると葬儀のことはもちろん、口座の解約や遺産相続などひじょうに多くの手間が生じます。


そこで必要な情報が手元にないと、遺族は困ってしまいます。いちいち確認していくのも、大きな手間がかかるからです。


一方、〈エンディングノート〉とは、そんな機能的な情報だけがその価値ではありません。


〈エンディングノート〉は、自分自身を見つめ直し、この先の人生をどのように生きていきたいかを考える糸口にもなります。


直接は伝えることが難しかった家族に対する素直な思いや、感謝の気持ち、自分の死後にどう生きてほしいかなどのメッセージが書かれていたら、家族にとって大切な形見の品になるでしょう。


残された人にとって役に立つことや思い出になることが、〈エンディングノート〉を残す重要な意味なのです。


しかし、実際の〈エンディングノート〉には、「財産を分けて、先祖からの繋がりを断絶しておしまいにする」という意識が働いていることが数多く見受けられます。

〈エンディングノート〉は、その方の〈自伝〉がしっかりと書き綴られていることで、はじめてその目的が果たされることになります。