ライフヒストリー良知

脳と自伝

また、修道女ナン・スタディさんの調査というがあります。科学者であるデビット・スノウドンさんは600人以上の修道女の協力を得て調査をしました。

スノウドンさんは、「修道女たちは。生殖活動と婚姻に関して同じ恋歴を持っていた。似たような社会支援を受けていた。喫煙せず、過剰な飲酒をしていない。似たような職業に就き、似たような収入を得て、似たような社会経済的地位にあった。全員が同じ家に暮らしていた。同じキッチンで調理された食べ物を食べていた。そして予防や医療サービスを受ける機会は同様だった。

「アルツハイマー型認知症にライフスタイルの違いが関係しているのであれば、修道女たちは、この疾患に屈服するか、或いはまったく羅患しないか、どちらかであるはずだ。ところがそのどちらでもなかった。深刻な記憶障害に悩む人もいれば100歳を過ぎても、認知機能を維持している人もいて、ばらばらだった。」

その理由を突き止めようと、スノウドンさんたちは、彼女たちが修道女会で過ごすようになった若いころから史実に綴ってきた日誌に着目したそうです。修道女会で暮らし始めたとき、彼女たちはそれぞれ自伝を書いていました。スノウデンさんたちは、その自伝に目を通し文章複雑さと思考の密度を分析した。そして修道女たちにたちは修道女を自伝をもう一度書いてほしいと頼んだのです。

そして、文章能力が高いグループと低いグループに分けました。こうした言語能力は、ワーキングメモリーの能力を暗示しています。つまり、思考が複雑であればあるほど、処理能力があるということなのです。

そして、死後、脳を検体する手続きをしてくれる人がいで、修道女の様々な脳を調べたところ、前頭葉と海馬に神経原繊維のもつれが多数あることがわかりました。これはアルツハイマー型認知症に羅患してしている何よりの証拠です。

そして、スノウドンさんたちは修道女の若い頃の日誌を基盤に採点した言語スコアを見たところ、アルツハイマー型認知症を発症した修道女は、アミロイド班や神経原繊維のもつれがない修道女に比べて、とても単純な文章を書いていたというのです。

健康な成人の場合、ワーキングメモリーが言語能力と結びついていて、弱いワーキングメモリーを持つ修道女は、アルツハイマー型認知症に羅患するリスクが高かった。逆にいえば、強いワーキングメモリーの持ち主には認知症の症状が出にくいことを示しています。