明治期の有名な宗教思想家に内村鑑三がいます。内村の作品でもっとも有名なのは『代表的日本人』でしょう。内村の独自の視点で西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、そして日蓮を代表的日本人としました。そしてその理由を詳しく述べています。
内村が著した数ある作品の中で、『後世への最大遺物』という題名の著書を知っているひとはそれほど多くないと思います。
内村は、『私たちは後世に何を遺すべきなのか?、親か子に何を遺せばいいのか?』を自問しています。
結論から言うと、内村は『まずお金、次に事業、そして思想』だと。しかし『これらが後世への、或いは子に対しての最大遺物なのかというとそうではない。内村は最大遺物とは誰にも遺すことのできる遺物で、また利益ばかりあって害のない遺物がある』と言います。
それは『勇ましい高尚なる生涯である。』『他の遺物は誰にも遺せることのできる遺物ではない。』
それでは、高尚なる勇ましい生涯とは何であるのか?
内村は、『失望の世の中であらずして、希望の世の中であることを信じること。』『この世の中は悲嘆の世の中でなくして、歓喜の世の中であることの考えをわれわれの生涯に実行して、その生涯を世の中への贈物としてこの世を去るということだ』と言います。
ライフヒストリー良知は、内村のこの考え方をもとに、人々の“高尚なる生涯”を記録として残していきたいと思いますね。