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なぜ自伝を書くのか?

『なぜ自伝を書くのか?』

アンナ・R・バーというアメリカの自伝研究家がいて、彼女は自伝を書く動機、理由を4種類に分類しています。

第1に自己研究、第2に子孫・後裔のため、第3に宗教的な証言として、そして第4に自分の楽しみのため・過去を思い出すため

自伝のことを詳しく研究している佐伯彰一は、上記の4項目のうち、ふたつの方向性にわけ直すことができると言います。ひとつの方向性が無目的・無償の行為で、もうひとつの方向性が有用性・効用をめざすもの。

それからすると、第1の自己研究と第4の自分の楽しみのため・過去を思い出すためは、無目的であり無償の行為で、第2の子孫・後裔のためと第3の宗教的な証言のためが、有用性と効用をめざすものとなりますね。

では、ライフヒストリー良知はどうか? なぜ、自伝を書く、或いは自伝を作成するのか?

第1に、記憶の劣化を防止し、認知症にならない脳にするため

第2に、昔話を語ることで、心の浄化を促し、未来への希望を沸き立たせるため

第3に、子孫や後世に、自分の生きざまやライフヒストリーを遺すため

の3つをその目的としていて、すべてがその有用性と効用をめざすものになりますね。

第3のことで言えば、例えば勝海舟の父、勝小吉の自伝「夢酔独言」では、小吉は自伝を書く目的を〈子孫のため〉としており、子孫という聞き手を信じ、子孫のために率直に自らの行状を記し留めておこうとしました。

第1の記憶の劣化の予防については、老齢期を豊かに過ごすために、いかに認知症にならない脳を造るかが課題であり、過去を思い起こすことによって〈脳を活性化〉させることが可能になります。

また第2の語りによって心が洗われ、気分が良くなることはカウンセリングの世界ではたくさんの様々な成果が現れています。

今後とも、ライフヒストリー良知では、いろいろ研究を重ねながらその有用性や効用を証明していこうと思っているのです。