同窓会とは?
日経ビジネスという経済誌に〈同窓会に行かない症候群〉という題名の記事が掲載されていたので、一部を抜粋して紹介しますね。
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同窓会に行かない症候群・・原因は〈昭和の働き方〉の破綻
全国の同窓会で、中高年参加者が伸び悩む現象が起きている。〈昭和の働き方〉がいよいよ幸福に結びつかなくなったことが大元の原因だ。
何十、何百人といった大規模な同窓会は減った。「大勢が集まる同窓会にはもう参加したくない。」という人が増えている。
昔の友人と全く会わないわけではなく、年に1度は学生時代の仲間と飲む。が、メンバーは毎回、気心の知れた5人のみ。社会に出た後にどういう人生を歩み、企業社会でどのくらい出世し、どのくらいの資産を築いたかは互いにおおよそわかっている。
「旧交を温めるのはこのくらいの規模がちょうどいい」と50代のA氏。他の同窓生がどうなったかは、むしろあまり知りたくないようだ。
日本では現在、〈同窓会の小規模化〉が進行している。
20~50代の男女1107人を対象に実施したアンケート調査によると、2010年の時点で既に89%の人が「50人以上の同窓会に参加した経験がない」と回答。
SNSの普及や、個人情報保護法で名簿作りが難しくなった事情もあるが、A氏のように「そもそも参加したくない」と思う人が増えたのも原因の一つ。この世代の参加率は24.8%にとどまる。
「恥ずかしくて顔を出せない」とB氏。
なぜ同窓会に参加したくない人が増えているのか。「時間がない」や「会いたくない人がいる」など様々な答えが出る中、男女合わせて最も多く挙がった理由は〈自分に自信がないから〉だった。
「以前、参加した時につい会社や自分の役職の自慢をしてしまったが、5年前に知名度があまり高くない別会社に出向してしまった。今は、恥ずかしくて参加できない」
B氏のような人がいるとすれば、50代の同窓会参加率が低い理由にも説明が付く。50代と言えば〈会社生活の結果〉が見えてくる時期。
会社でのポストや収入、生活水準などで自分が目指してきた理想と現実をいやが応でも確認させられる年だ。旧友との差も目の当たりにせざるを得ない。
閑散とする同窓会。それは、人生の終盤を迎えようとする日本人ミドルの少なからぬ人が、〈自分の人生は少なくともベストではなかった〉と感じていることの象徴と言えるかもしれない。
日常生活に強い不満があるわけではないが、自分の人生に心から満足しているかと言えば違う。
この国では今、こうした思いを抱く人が、〈同窓会に行かない中高年〉に限らず増えている可能性が高い。
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僕は長年、小学校(5クラス)・中学校(10クラス)・高校(10クラス)の学年同窓会の代表幹事を担ってきたので、上記の記事の内容についてとてもよく理解できますね。
学年同窓会は全体の3割が集まれば、まあ成功と言ってもいいでしょう。この記事のように、同窓会に参加する人も参加しない人も、もちろんそれぞれに理由があります。
だけどひとつだけ。
本来学生時代の友達というのは何ら利害がない関係ですよね。
だから、仕事で、或いは家庭において、成功しようが、失敗しようが、有名になろうが、無名であろうが、出世しようが、問題を抱えていようが、今が幸せであろうが、不幸な状態でいようが、
本人が思っているほど、同窓会に参加する友人たちは、そんなことに関心がない。
ただ、会って、懐かしんで、食べて、飲んで、酔っ払って、思い出話をして、聴いて、歌って、それで終わり。あとは、あぁ楽しかったなぁ、また会おうね、と。
同窓会は、〈ひとときの夢〉でいいのですよ。
さらにもうひとつ。
なつかしさ(ノスタルジア)とは、何でしょうね?
同窓会で、久しぶりに会った学生時代の友達、これらがきっかけとなって過去のことを思い出すという点で〈記憶〉に関わっています。
またその時、甘く楽しく、時にはにがく苦しい気持ちを引き起こすという点では〈感情〉への関わりを持っていますね。
そして、今までやってきたことへの誇りや自信、逆に昔に戻ってやり直したいという望みや後悔という点では、〈自己〉に関わってきます。
ノスタルジアを感じるとき、前頭葉や海馬をはじめとする脳の多くの部位が広い領域で盛んにネットワーク活動をしていることが、近年明らかとなってきました。
過去の出来事を回想し想像する、同窓会で古い友人や初恋の人と語り合う。これらが心と脳の健康増進にとっても良いことなんだと、こうして科学的にも証明されてきているんですよ。