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AIによる自伝文化のマーケット創出

AI(人工知能)技術によって、「話して文章を書く」ことがやっと実用段階に入ってきたこは嬉しい限りです。これまで音声入力の精度はあまりよくなかった。だけど今や急速に進歩していますね。

ただ、まだまだ誤った表現をしたり間違った用語を使うケースが多い。しかしながら、これも全てではないものの大方解決できるようになるでしょう。AIによって文章を書くという作業の質が変わっていくのが何よりもうれしい。

文字起こしに係る時間を大幅に短縮できることは、当然のことながら、コストの大幅ダウンにつながります。これまで「自分史」を自ら書く人がたくさんいても、口述筆記による「自叙伝」を手掛けようとする人は少なかった。

でも考えてみると、「自叙伝」で一番有名な福沢諭吉の『福翁自伝』は矢野由次郎という新聞記者が福沢にインタビューしながら書き著したものだし、欧米先進国で一般的に行われ歴史に遺されている政治家や経済人など著名な人たちの自叙伝のほとんどが、いわゆる口述による「オーラルヒストリー」なのですから。

「東洋に自伝なし」から「東洋にも自伝あり」という文化を作っていきたい。AIはその芽を出すためのやり水のような存在になりそうです。

反面、AIによって文字起こし簡便にできるとなれば、これからライフヒストリアンとしての様々な能力が問われてきますね。それは、“聴く力”、“質問する力”、“文章表現力”、”文章を推敲する力”、“歴史に対する洞察力”などになるでしょうか。

いやそれよりももっとも大切な能力が、日本に自伝文化の市場を創出する“マーケティング力”になるかと思いますね。