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聞き書きとAI(人工知能)

「聞き書き」とAI(人工知能)

『まだ未完のゲラです。出版社が二つばかり興味を示していますが、私は声論をもう少し勉強したいのと、全体の整理をしたいのです。このたびは、せっかくの機会でお目にかかりたかったのにー。もう、力が尽きました。お好きなようにお使い下さい。2016.2.17 和多田進』

3年前、高齢者の生きざまや人生の物語を聞いて記憶を蘇らせ、家族や友人、読者や後世に書き著し遺す口述自伝制作事業、それをホームページや電子書籍にして、パスワードを入れればパソコンやスマートフォンでいつでもどこでも見られるシステム“ライフヒストリー良知”を立ち上げたとき、真っ先に相談したのが、ジャーナリストとして一斉を風靡した和多田進さんでした。

JR小田原駅で会うことになっていたのですが、残念ながら病に冒され会うことが叶わず、その代わりに『「聞き書き」技術試論』という将来本にする予定だったゲラが送られてきました。和多田さんは、その年の6月22日、享年70歳で亡くなられました。

『「聞き書き」というのは、ある話し手がある聞き手に話を語り、その聞き手が文章にする~ということの全体を示すことばです。(中略)そこで、書き手(聞き手)は今日という時代の空気を読まなければならない。この時代に生きている人々の気分、社会や世の中の気分・雰囲気・空気などに敏感になる必要が出てきます。』

これが、「聞き書き」技術試論の書き出しです。

この3年間、このゲラを虎の巻、或いはバイブルにしていろいろ試行錯誤してきました。そしてここにきて音声認識AI(人工知能)を活用することによって、文字起こしにかかる時間とコストの劇的な削減が可能となり、事業化の目処が立ってきました。

天国の和多田さんに恩返しができるように。