理想の100歳
初めて100歳になる男性と接し、いろんな対話をしました。
1918年(大正7年)生まれ。大阪帝国大学を卒業した科学者。会社勤めを経て東京の大学で教鞭を取った。
20歳代外地で戦いたいへんな時代を乗り越えて来た。お酒はたくさん飲んだが煙草は吸わなかった。よく読みよく話しよく研究し、そしてよく歩いた。
食事は完食、細かく新聞に目を通し、熱心に職員の話に耳を傾ける。夜はしっかり眠り、自らの足でトイレに行く。何よりも表情が穏やか。今も残る白髪が美しい。
確かに記憶の衰えはある。だけど思い出そうとするその心意気が凄い。
優れた長寿遺伝子を持つと共に、極めてきた学者としての生活習慣。そして今100歳であることのこだわりとここまで生きてきた誇りがある。
ただ残念なのは、この100年のライフヒストリーが記録として残されていないこと。せめて10年前に出会っていたなら、それぞれの時期の物語を聞き書きして、素晴らしい『ライフヒストリーブック』を作成することができたのに。
将来この方のような老賢百寿者になりたいものですね。