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ノスタルジアを支える記憶システム

ノスタルジアを支える記憶システム

仕事柄、人間の記憶からノスタルジア(懐かしさ)が持つ意味を考えていきたいと思っています。

長期記憶には次の3つがあります。即ち①エピソード記憶(自伝的記憶)、②意味記憶、③プライミング(無意識の記憶)。

その人といつどこで出会ったかを思い出す、過去を再体験するような意識状態を「メンタルタイムトラベル」と言ってエピソード記憶のもっとも重要な特徴です。

例えば、同窓会で同窓生との懐かしい出会いによって、その当時のことが詳細に回想されますね。これは「メンタルタイムトラベル」を伴うエピソード記憶の想起なのです。

最近の研究では、エピソード記憶が未来の想像やプラニングに大きな役割を果たしていることが明らかとなってきました。そして、その脳の神経基盤も共通している部分が多いこも指摘されていますね。

脳の機能を測定したデータがあって、自伝的記憶を伴うエピソード記憶は後部帯状回に加え、両側の前頭葉、側頭葉の内側部の活動が高まっていることがわかっています。

また、アッディスという研究者は、過去あるいは未来の出来事を心のなかで作り出すまでの段階を「構築段階」、その後の詳細に思い浮かべる段階を「精緻化段階」と呼んで区別して、

それぞれの段階における脳の活動を測定したところ、過去、未来ともに、「構築段階」では、後頭葉の視覚野及び左の海馬、「精緻化段階」では、海馬、海馬傍回を含む側頭葉内部側及び後頭帯状回、膨大後頭皮質のネットワークの活動が見られました。

このことから、記憶を検索する時に一般に活動が見られる前頭葉、側頭葉、後頭帯状回など(これらの領域をコアネットワークと呼ぶ)が、過去のエピソード記憶の詳細な想起、未来の出来事の詳細な想像の両者に共通に関わる領域であることが明らかとなっています。

つまり、過去の懐かしい出来事を思い出すことと同じ脳内基盤が未来への想像やプランニングにも関わっているのです。

その意味で『ライフヒストリー良知』の事業は、顧客の過去への回想と共に、未来への希望を統合する役割を果たしているのでしょうね。