高齢の人たちに、「健康のために運動を習慣づけてきたことがあるか?」という質問をよくします。
ほとんど人が「そんなことやっていない」と言われます。戦後の車中心の生活のなかで、自らの健康のため、また介護予防のために歩いたり走ったりジムへ行ったりする人がほんとに少ないのです。
これまで日本や欧米で学者たちが「運動と脳の健康」に関していろいろな実証実験を行ってきて、その結果に対して分析をしていますが、はっきり言えることは、脳の健康を保つためには運動が不可欠であるということです。
そういう私自身、学生時代の友人たちと1ケ月に一度の京都や滋賀の景勝地や名所名跡を訪ね歩くウォーキングを行いうなど有酸素運動を習慣づけようとしています。さらに筋トレや柔軟なども日々の生活の食事を摂るのと同じような感覚で実施しています。運動の大切さをひしひし感じているからです。
私の天職は、人々の記憶など脳の健康を増進させる共にその人の生き様を後世に遺す仕事です。そのために中高齢の顧客から聞き書きを実施するのですが、やはりそのベースにあるのは運動なのです。
運動療法を行うことによってどんな効果が生まれるのか、要は1000億ともいわれる脳神経細胞は加齢と共に死滅していきますが、運動することによって新しく生まれてくるのです。また細胞同士の結びつきや繋がりが強くなっていくのです。記憶が損なわれるというのは一言で言えば、このネットワークが弱くなっていくことに他なりません。
結局、脳の劣化を防ぐには、「遺伝」というお皿の上にある「運動」という主食と「栄養」「人との交わり」「芸術」「笑い」「祈り」などの副食をいかにバランス良くしっかり食していくかだと強く思いますね。