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白寿の誕生日会

時々、施設に入居される女性のFさんは、1919年生まれで今年99歳。

私とはとても仲が良く、入居されるたびにいろんな会話を交わしています。目はもう見えず、耳は耳元で大きな声を出せば微かに聴こえます。入所されて真っ先に行う作業が部屋のノブの部分をハンカチで結ぶこと。そしてトイレの位置を確認し部屋からの距離を測ること。こうすれば誘導してもらうことなしに自分でトイレに行けるからと。

99歳になって何事も自分でやろうとされる。入浴時、脱着衣や洗身も人に頼らない。湯を使わず冷水で洗髪しシャンプーは使わない。まったく自分のスタイルで自宅でも施設でも生活して来られた。

先日、白寿(99歳)の誕生日会を居室で祝いました。その時ふたりで歌った歌が「ふるさと」と「琵琶湖周航の歌」。驚いたのは、このふたつの歌の歌詞を3番までしっかりと覚えていたこと。まったく違(たが)うことがありませんでしたね。日常的イヤホン付けてラジオを聞いてその内容をこと細かく話される。本当に見事な記憶力の持ち主。

高齢者の最大の特徴が個別性が拡がることです。年々とても大きな違いが出て、それがプラスにもマイナスにも働いていきます。遺伝的な要素もあるし、また環境に左右されることもあります。その上で最終的には本人の意識や自覚の問題になるのかなと思ったりしています。

こんなふうに歳を取りたい、このような老年期をおくりたいと思わせる高齢者のひとりがFさんです。