幕末から明治にかけて活躍した偉人、勝海舟の回顧談として有名なのが『氷川清話』。これは、今から120年前の1898年から99年にかけて、東京の氷川神社の近くにあった勝の自宅で、弟子たちによって聞き書きされた勝の語録ですね。
角川文庫が1972年に発刊したこの『氷川清話』の単行本は、1914年に発刊された『氷川清話』の流布本と1929年に発刊された『海舟全集』の中の「清譚と逸話」を底本として、現代の仮名づかいに改め、また読みやすいように段落を細かく分けて編集したものです。
勝海舟の思想や信条、感情の機微などが江戸弁の口調や言い回し、息づかいを通して手に取るように伝わってきますね。
これまで自叙伝や自分史、口述自伝など数多くあるなかで、この『氷川清話』と福沢諭吉の口述筆記『福翁自伝』のそれぞれ現代版が、内容の重厚さや読みやすさでは双璧だと思っています。
“ライフヒストリー良知”では、日本を代表するこのふたつの口述自伝における文章表現を参考にし、顧客の語った言葉をしっかり書き留め、世に送り出しているのです。