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自伝を書く理由・動機

アンナ・R・バーというアメリカの自伝研究者がいて、彼女は人々が自伝を書く理由、動機を4つに分類しています。第一に『自己研究のため』、第二に『子孫・後裔のため』、第三に『宗教的な証言として』、第四に『楽しみのため、或いは過去を思い出すため』。私はこれに、第五の理由、動機として『心と脳の健康維持と増進のため』を加えたいと思います。

これに対して、自伝と言う手付かずのジャンルを発見し、『自伝論』という分野を確立した佐伯彰一さんは、こう言っています。

「この4項目は、一種の無目的や無償の行為と、有用性やある効用を目指すものとの二方向に分けることができる。つまり、『自己研究のため』と『楽しみのため、過去を思い出すため』のは前者に入り、『子孫・後裔のため』と『宗教的証言として』は、後者に含まれる。自伝の書き手たちの言い分を信じる限り、後者の効用派が案外多いのである。」

私としては、『楽しみのため、過去を思い出すため」が一番目で、そのことで『心と脳の健康維持と増進のため』と『子孫・後裔のため』に繋がっていくと考えています。

『宗教的証言』というのは、私個人としてはとても良く理解できますが、日本では一般的に馴染みが薄いものですね。

『子孫・後裔のため』という、謂わば、家系の連続性というのは、現代ではなかなか実感することが難しいものかもしれませんが、NHKの「ファミリーヒストリー」という番組がたいへん人気を博しているように、少子化に入った時代においては、むしろ、『子孫・後裔のため』というコンセプトはとても大切だなと思っています。