ライフヒストリー良知

ライフヒストリーブログ

記憶訓練と海馬

記憶に関する有名な研究に『ロンドンのタクシー運転手と海馬』というのがあります。何かと言いますと、

『ロンドンのタクシー運転手は、ロンドン市内の数万と言われる狭い道をすべて覚えないと免許が取れない。ロンドン大学の研究チームは、タクシー免許取得に成功した人達の脳の構造をMRIを使って調べた結果、海馬の灰白量が増加し海馬自体が大きくなっているのを発見した。』

海馬とは短期記憶を司る部位のことです。この研究によって、海馬は、記憶訓練をすることによって成長することが明らかなったのです。

実は、私は、これと同じようなことを介護施設で現在経験しています。ショートステイを1ケ月のうち3日ほど利用されるEさんのことです。Eさんは現在86歳で、若い時20数年ほど地元のタクシー会社に勤めていました。その頃の話しを聴くと「朝礼のとき、今日走る場所や道を地図を見ながらすべて覚えさせらた。えらいきつかったわ」と言っていました。

Eさんと話をしていても記憶の衰えを感じることが全くありません。施設にことわざの本などを持ち込み、夜になるとテレビも見ずひたすらそれらの本を読む努力家であることも拍車をかけていますが、昔取った杵柄というべきタクシー会社での厳しい記憶訓練によって今の脳機能があるのでしょうね。

もっとも、今はナビゲーションがあるためそんな訓練はしていないと思いますが、その分、逆に歳を取った時の記憶が低下していくのが速いかもしれないですね。

脳(2))