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愛着アプローチ

岡田尊司という精神科の医師がいます。岡田さんはパーソナリティ障害などの専門家で何冊も本を書いています。

岡田さんは、『愛着(アタッチメント)』ということについての重要性を説いています。幼児期に養育者(通常は母親)との間に『愛着』という絆が生まれると、子どもは外の世界に対して関心を示し社会性や知的な発達が促進され、逆に、愛着が不安定だと、親から不用意に離れてしまい危険から身を守れなかったり、逆に親のもとから離れられなくなったりするというのです。

イギリスの有名な精神科医であるジョン・ボウルビィやその共同研究者であるメアリー・エインスワースは、『愛着理論』というものを提唱し、安定した愛着を結んでいる親子において親が「安全基地(safe base)」として機能していることを見出しました。「安全基地」がうまく機能し愛着が安定していることが、ストレスからその人を守り心身の健康を支えてくれるだけでなく、外界への積極的なチャレンジや社会参加を促進させ、社会への高い適応力が生まれます。逆に安全基地がうまく機能しなくなると適応障害や心身の病気になるというのです。

安定した愛着へのアプローチとは、「安全基地」となる存在(親やパートナー、或いは友人やカウンセラーなど)の基で、自分を振り返って問題に向き合ったり、自分の視点を離れて相手の視点で考えたり、第三者的な視点で事態を達観したりすることなのです。

多くの高齢者が持つ様々な心理的、精神的な問題もまた、この「愛着」というキーワードで見ていかなければならないと思っています。『ライフヒストリー良知』事業において、この「愛着アプローチ」は顧客の心や脳の健康を促進するためのとても大切な要素となっていくのは間違いないでしょうね。

本を読む小さな子