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記憶のしくみ

仕事柄、60歳を過ぎた方々と話をする機会がとても多いですね。その中で今何が一番不安なのかを聞くと、多くの人たちが「健康」と言います。「健康」の中でも「脳の健康」、その中でも「記憶の失うことだ」と言うのです。

記憶を失うことは、自己を失い、個人史を失い、他者との長きにわたる交渉を失うことになります。年を重ねても記憶を失わないための努力が必要ですね。バランスの取れた食事を欠かさないこと、適度な運動を習慣づけること、睡眠と休息をしっかり取ること、ストレスを軽減させること、他者とのコミュニケーションをはかることなどが大切です。

アメリカは、脳科学の研究が世界でもっとも進んでいて、脳の研究でノーベル賞を受賞した人もいますね。これらの研究成果を参考にしながら、記憶の低下の防止に向けた試みをはかっているのです。

ライフヒストリー良知で実施している顧客に思い出してもらうための手掛かりを提示していく行動、これはまさに理にかなったことだと心理学者であるハーバード大学のダニエル・シャクターとトロント大学のエンデル・タルヴィングは強調しています。『貯蔵のときに強く記憶したからっとしても、その記憶が後になってうまく想起できるとは限らない。うまく想起するためには、想起の指示や手掛りが記憶を生き返らせることができなくてはならない。もっとも有効な手掛かりは思い出そうとしている出来事をもっともよく符号化された特徴を呼び起こすことなのだ。』と。

そして、この思い出す、想起する行動は、その後の記憶力を改善することに繋がっていく。情報を思い出そうとすることが、それを繰り返し練習するリハーサルのような機会となるのですね。

記憶力の低下を阻止する。これが私たちの大きな命題なのです。

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