ライフヒストリー良知

ライフヒストリーブログ

ライフヒストリーの社会学

おそらく、社会学としてライフヒストリーをみるとき、この分野でもっとも著名な学者は中野卓さんでしょう。

中野さんは今から40年ほど前に『口述の生活史』という本を刊行しました。今でも人々のライフヒストリーを作成していく場合、中野さんのこの『口述の生活史法』が最善の方法だと考えるのは、私だけでないでしょう。

ところで、近年、アイデンティティという言葉をよく聞くと思います。「自分とはいったい何者なのか」ということを一言で表したものですが、これにマッチする日本語はないですね。したがって、今、アイデンティティはそのままアイデンティティとして使われています。

この言葉を最初に使った人は、アメリカのたいへん有名な精神分析学者E・H・エリクソンですね。ちなみにこのサイトの“ライフヒストリー良知の智恵と知識”の中においても、エリクソンの老年期ことについて載せています。

エリクソンはまた、『歴史的な人物を扱うライフヒストリーの方法』としてこのアイデンティティに注目しています。

彼が注目する観点は、「その人の生活史を通じて、全体としてどの程度前後のつじつまが合っていたのか、ということを何にもまして考慮しなければならない。」「その人の人格は、独自性だけでなく、矛盾すること、挫折の経験からも捉えられる。」「ライフヒストリーは歴史を記述する方法であると同時に、歴史に主体的に関わっていく方法でもある」ということだと。

中野さんは、このエリクソンの考え方に大いに賛同していますね。

ライフヒストリー良知は、これからも社会学と心理学の分野で、しっかり結合させていきたいと思いますね。

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