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紀伝体としての歴史書『史記』

司馬遷の書いた歴史書『史記』とは如何なるものでしょうか?

『史記』は、中国の伝説上の皇帝から、司馬遷に死罪を命じた漢の武帝に至るまでの長い長い歴史が流れるなかで、その時代に生きてきた人物の逸話に焦点を当ててまとめたものです。

この形式を『紀伝体』というのですが、それ以降の中国の歴史書編纂の基になっています。これに対して、起こった出来事を年代順に記録していく方法を『編年体』と呼んでいます。

『史記』のすごいのは、皇帝貴族や英雄豪傑、功成り名をとげた人だけの歴史を記述しただけではなく、権力から距離を置いた人物や志半ばで倒れた人たちについて書いたものも多いことです。また任侠や暗殺者といったアウトローや個性あふれる無名の者たちについて書かれた列伝と呼ばれるものもあります。

司馬遷は、安易に有名なる人物だけの歴史観に偏らない多様な視点を持っていたのですね。

“さまざまな個性を持つ人たちの生きてきた歴史を紀伝体にして後世に遺す”、ライフヒストリー良知が目指すコンセプトは、司馬遷のこの崇高な考え方に由来するのです。

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