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『自伝的記憶』をたどってみよう

記憶には幾つかの種類があって、おおよそ(1)感覚記憶、(2)短期記憶、(3)長期記憶に分けられます。そして長期記憶は①意味記憶、②エピソード記憶、③手続きの記憶、それに④プライミングに分けています。

エピソード記憶のなかには『自伝的記憶』といって、自分自身の行動や身にふりかかった出来事の記憶、関わった人や所有物の記憶、生まれ育った場所の記憶などがある。

子供の頃こんなことがあった、若い時あんなことがあった、私たちは生きる過程で数知れない『自伝的記憶』を抱えるようになりますね。

過去の成功のエピソードは、自分は何が得意か、どんな能力があるのか、どうすればうまくいきそうか、どんな生き方が向いているのかなどを教えてくれるし、

また、過去の失敗のエピソードは、自分は何が苦手か、どんな能力が足りないか、どんなことに気をつけるべきかを教えてくれます。

この時、大切なのは、過去から現在に至る『自伝的記憶』の流れを上向きに組み立ていくこと。そして、出来事そのものとその〈意味〉を分けることですね。

「あの苦しい時期があったから、その後たいていのことは耐えられる」「あそこで大きくつまづいてたいへんだったけど、そのおかげで人の心の痛みがわかる人間になれた」とか。

たとえ失敗した否定的なエピソードであっても、今の自分にプラスをもたらす肯定的な意味を与えることができれば、過去から現在に至る流れは必ず上向いてくる。そしてその延長上に描かれる未来もまた、上向きの流れに乗ることができるのだと思っています。

口述自伝を制作する際、お客さんによくこんなお話をしているんですよ。