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記憶は発想の宝庫

記憶は発想の宝庫

「何かを創造したり、ものごとを発想するときの心の機能は、〈記憶〉とは相反するものだ。」ということをよく聞きます。「〈記憶〉は過去に縛られているから、創造力や発想力を鍛えるためには〈記憶〉に頼ってはいけない。」とかも。

だけど、これまで言ってきたように、〈記憶〉というのは生き物であり、たえず変容して思い出すときの心理状態によって書き換えられ、そんな〈記憶〉の素材の意外な結びつきが新たな創造につながっていくのです。

例えば、日清食品の創業者、安藤百福さんのお話。安藤さんは金融関連の仕事に失敗して大阪府池田市の小さな家に引っ越した後、次のビジネスのことを必死に考えていた。

ある日、戦後の食べ物がないところに屋台のラーメン屋に列を作っている〈記憶〉や美味しそうにラーメンを食べる人たちの笑顔の〈記憶〉が蘇ってきた。かつてものづくりをしていたか〈記憶〉と結びつけて、「ラーメンを工場で作ろう」という発想が生まれたそうです。それが20世紀最大の発明といわれる「チキンラーメン」なのです。

あらゆる発想の背後には、何らかのヒントになる〈記憶〉が潜んでいる。世の中にはよくひらめく人がいますが、このひらめき型の人は、細かなことまで覚えなくても、異質な〈記憶の断片〉を結び付ける柔軟さを持っているのです。

つまり、〈記憶〉とは発想の宝庫。発想の手がかりは自分自身の記憶の中に眠っている。したがっていい発想を得たいと思ったら〈記憶〉を活性化することが大切なのですよ。