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ど忘れ

ど忘れ

記憶の研究をはじめて数年がたつけれど、この間、ものごとや人の名前についてなかなか出てこない場面が多くなってきたなぁと感じています。だけど、そのときはいくら考えても思い出せないのが、あとになってふと思い出したりするのです。

これが、いわゆる「ど忘れ」。ほとんど加齢によるもので、ただど忘れは認知症とは全く別のものだと言うことを理解しておいたほうがいい。記憶の痕跡が消えたわけではなく、記憶の痕跡はあるのにアクセスすることができないだけなのです。

この本で読んだのは確かなのに何回パラパラとめくってもどこに書いてあるのか見つからない、そんな時は、検索があれば、該当箇所にたどり着くことができますよね。同じように「忘却」というものが検索できないことによって起こるとするならば、「忘却」と「ど忘れ」は同じような意味になる。あとになって思い出すというのは、思い出せないときも記憶はしっかり保持されていることですから。

であれば、「忘却」を防ぐには、図書館の本の分類のように記憶をしっかり整理しておけばいい。とは言っても覚えたことを分類して頭の中に入れることができるかどうか。

以前にも言いましたが、大切なことはときどき思い出す「くせ」をつけたり、「習慣」にしていくことですね。アクセスの回数が増えることで検索力が強くなっていきます。とにかく繰り返していく。

心理学者のワグナーという人は、毎晩、その日にあった出来事を記録するという作業を6年間続けました。そして2,400個ほどの出来事の記録が出来上がった。その際、「だれ」「何」「どこ」「いつ」という4種類の情報を必ず記すようにした。ときどき記憶検査を行い、この4つの手がかりを順に提示してその出来事を思い出すことを試みたそうです。

その結果、検索手がかりとして有効なのは、「何」「どこ」「だれ」「いつ」の順に高いことがわかった。例えば、「4年前の2015年の5月3日に何があったか?」と問われても、いったい何のことか、なかなか思い出すことができない。だけど、「4年前に同窓会があっただろう?」と言われると、それはどこで行われたとか、どんな様子だったとか、誰と誰がいたとか、いつの頃のことだったかを即座に思い出すことができると言うのです。

【実際に2015年5月3日に我が母校「滋賀県立膳所高校の卒業40周年記念同窓会」を大津市の琵琶湖ホテルで開催しています。写真は同窓会の翌日、湖西の道を小旅行した時に撮影したものですよ。】