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ときどき『過去を振り返る習慣』を身につける

電車や自動車など交通手段の発達によって、現代人の足腰は確実に弱っています。それを補うために、スポーツジムに通ってランニングマシンの上を走ったり歩いたり。何を況や、とても皮肉な光景ですね。

ギリシアの哲学者プラトンは、文字の発明に批判的だったらしい。なぜなら文字を使うことで、人々はものごとを容易に忘れるようになるからだという。確かにそうですよね。文字を外部記憶装置と呼ぶのが適しているかはともかく、レコーダや今なら人工知能AIは、忘れてしまったことの備えとしては有効だけど、それに頼ることで記憶力の衰えが加速していきますからね。

釈迦や孔子、キリストの弟子たちは師匠が発した言葉を一言一句違えることなく記憶した。注意力と集中力があれば人間はそれができるのです。

電卓を使うことで計算能力が衰え、パソコンを使うことで漢字を覚える機会が少なくなり、携帯電話によって電話番号を覚える必要性がなくなった。私の場合は学生時代好きだった女の子の電話番号を今でも覚えていますが。

つまり、私たちが日常生活のなかで、自分の頭や脳で覚えておかなければならないことが少なくなってきたのです。そうすると記憶能力が加速度的に衰えていく。ではこんな時代に何が必要なのでしょうか。

大事なのは、ときどき『過去を振り返る習慣』を持つことなのです。これまでもことあるたびに言ってきた言葉です。

私たちは、計算も漢字も電話番号もわざわざ頭をトレーニングして覚える必要はないけれど、ライフヒストリー(自分史)だけは、自分の頭以外のどこにも保存されていない。自分の生育史、人生の流れ、或いは自己の物語は、自分自身の記憶に残しておくしかないのです。そして、これが後世に向けたとても貴重な資料になります。またこの自伝的記憶は、仕事や人間関係を円滑にするうえで、或いは課題を解決するために大いに役立つのです。

子孫へ自分の歴史を遺すためにも、また問題解決能力を高めるためにも、ときどき自分の『過去を振り返える習慣』を身につけましょう。これは記憶力を増大させるトレーニングにもなる、まさに一石二鳥なのですから。