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語順、ハとガ

語順、ハとガ

語順について言えば、象は⇒長い、鼻が⇒長い、①象は鼻が長い、②鼻が象は長い、を例にとると、

日本語では、「係りは受けの前に来る」というので①が正しいとされていますね、でも現実には必ずしもそうではない。係りが受けの後でも「話しことば」では②でも十分に意味が通じるし、「聞き書きことば」などは、極端に言えば、語順はバラバラでも何ら問題ない。正しさとあるべき形が混同されていてもいいのだという、なんだか日本語の曖昧さを感じさせますね。

それでもやっぱり安定した文章にするためには、語順のことを意識しないとアカンなぁと思っています。正しい語順で文章を書く場合、テンを不用にするなど、語順の基本は絶対忘れてはならない。

それともうひとつ、ハとガについて。『日本語の倫理、ハとガ』という本を書いた言語学者の三上章さんは、「日本語の文法のうち、最も重要なのはテニヲハで、中でもハです。」と言っています。

例えば、①年老いても吉永小百合“ガ”優しい人柄です。②大リーグで大谷“ハ”ホームランを打った。という二つの文を読んでみて何か不安定な感じがしますね。①は“ガ”より“ハ”のほうがいいし、②は“ハ”より“ガ”が安定する。これはどちらも主語を表す格助詞でありながら、その働きが違うために起こっているんですよ。だから不安定になる。

ガ”はストレートに主語を差し示す。②の場合力点は「大谷」にかかっている。一方、“ハ”は主語ではなく、主語に続く部分に差し示している。従って、①の場合なら、「吉永小百合」がどういう人なのかに力点がおかれる。②は「ホームラン」より「大谷」が強調されるとも言えるし、①では「吉永小百合」よりも「優しい人柄」の方が強調されるということなんですね。

私たちは、無意識に何気なく“ハ”と“ガ”を使っているけれど、上記のように、“ハ”と“ガ”には働きの違いがあるんですね。語順にしても“ハ”と“ガ”にしても、日本語の大切なところを意識しながら、「聞き書きことば」としてお客さんの自伝を制作しているんですよ。

聞き書きで一番大切なのは、いかにわかりすく書いて読んでもらうかですね。お祖父ちゃんやお祖母ちゃんの自伝をいったい誰に読んでもらうかとなると、やはり家族ですよね。そこには主婦いるし小さな孫もいる。小学生が読んでも理解できる文章にしていかないとね。