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語順のこと

語順のこと

語り手が語る言葉を文字にするとき、いちばん問題になるのは「語順」です。“話しことば”はたいがい語順がいい加減になります。“書きことば”のように整理する余裕もなく、極端に言えば、思いつくまま言葉が口から出てくるので当然といえば当然ですね。従ってそんな“話しことば”をそのまま文字にしても読み手は不明なことばかりになってしまう。

語順には、例えば、係ることばを係られることばにくっつけるという原則というのがあります。“聞き書きことば”というのは、語り手の言葉を活かしその人らしさを際立たせることが大切なので、あまり原則論を振りまわすわけにはいきません。時には係ることばと係られることばを遠く離してしまうことだってあるのです。あまりにも「正しい」語順にすることによってその人らしさがなくなってしまったら、元も子もないですからね。そのためにも「正しい」語順というものが何であるかをしっかり考え把握しておかなければなりませんね。

“話しことば”をレコーダーに録音して文字化すると、まずはどの文字を漢字にし、どの文字を平仮名にし、どこに点を打ち、どこに○を付けるか、これらを行って初めて原稿が出来上がります。この段階では語順を変えることはしませんね。ここでは句読点のつける箇所が中心になります。

文字起こしをする際にレコーダーから音を間違って聞き取ってしまうことが往々にして起こります。これまではレコーダーに録音したものを何回も巻き戻して文字化するのにかなり時間がかかっていたけれど、今年から音声認識AI(人工知能)を使って文字起こしを行うため、AIがこれまでより一層音を間違ってしまうことが多い。それを正確な文字にしなければならず、これまでとは違った難しさがあるのですが、時間的には比べ物にならないくらい音声認識AIが速いのです。