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労働のグローバリゼーション

未来の人たちが2020年の日本を振り替えるとき、2回目の東京オリンピックが開催された年、労働のグローバリゼーションを標榜し移民国家を宣言した年として記憶するかも知れませんね。

ところで、介護サービスとは、生産された労働がその場で消費されるサービスであって、働き手を利用者のいる場所に運ばなければならない。つまり、資本の移転とは逆の労働力の移転が生じるのです。

欧米先進国は、国内で高い失業率がありながらも、何故移民を受け入れて来たのか。

日本と同じ高齢者化が進む欧米諸国では、ケアワークに就いているのは外国人労働者が圧倒的。それは一言で言えば、自国の国民、特に若い人がケアワークをはじめとする4K(きつい、汚い、危険、給料が安い)の職種に就かないから。

日本でも、この数年、新卒や転職して介護業界に入って来た若者のほとんどが男女問わず直ぐに退職し、他の業界に移動している。介護の仕事が嫌だと言うよりは、給料の面で将来の人生設計ができないと言うのが主な理由。

そこに外国人介護ワーカーが入ってくるなら、労働条件の改善の議論など、どこかに吹き飛んでしまう。

むしろ、今後未曾有の高齢化社会を迎える日本も欧米のように介護の仕事の大半は外国人が担うものと割り切って、それに即した政策や制度を整えていくほうがいいかもしれない。

ケアワークの価格を守れと言う主張は、現実的に国内の労働市場の閉鎖性を持っている条件の基でこそ成り立つものであって、グローバリゼーションの時代には、いささか牧歌的な感じすらしますからね。