ライフヒストリー良知

ライフヒストリーブログ

元軍人のキリギスタン抑留

人間、生きるか死ぬかの凄まじい体験をすると、歳を重ねても認知の衰えがないなぁと感じています。

5日前、施設に入所したKさんは大正14年(1925年)生まれで来月93歳になる。耳が少し遠いものの食事、排泄、更衣、歩行などは一切手がかからず記憶力もしっかりしている。

終戦は、軍人として当時日本の航空隊があった今の北朝鮮海州というところで迎えた。ソ連軍が北朝鮮で日本軍の武装解除した後、30日間木車に詰め込まれ中央アジアのキリギスタンというところに連れて行かれた。そこで建物建設や道路工事、農地開発などをやらされたそうです。

調べて見ると、キリギスタンには日本軍人約25,000人が収容所に送られ強制労働させられている。首都タシケントには今も日本人の手だけで作られたナボイ劇場というオペラハウスがある。昔ここで大きな地震が起きたとき、周りの建物はことごとく倒壊したのにこの劇場だけはびくともせず、現地の人たちは日本人の技術力の高さに驚いた。この劇場のこともKさんは覚えていましたね。

いつか、故郷に帰れることを願いつつ仲間と必死に頑張ってきたそうです。今から70年ほど前のお話し。
Kさんのライフヒストリーをもっと詳しく聞き取り、物語にして身内の方々や後世に遺していきたいという気持ちが募ります。

時間的にはなかなか難しい。でもライフヒストリー良知のモデルとして、僕がKさんに憑依(ひょうい:のりうつること)しノンフィクションとして書き綴れば、きっとKさんの見事な歴史が遺るでしょうね。