ライフヒストリー良知

ライフヒストリーブログ

ルーチンの大切さ

高齢者施設の中でも、短期間だけ利用するショートステイには様々な高齢者が入所されます。ショートステイとはレスパイト、つまり、自宅で介護している家族が一時的に介護から解放され、休息をとれるようにするためのサービスのことで、短い時は1泊2日、長くても1ケ月程度ですね。

施設のすぐ近くに住むCさんは5年前から土日以外、平日はほとんど利用されていました。Cさんは昭和3年生まれの家具を製造する職人で、家で転倒して車いすの生活でしたが、認知は極めてクリアで好奇心や向上心が強く、施設ではいつも趣味の“貼り絵”に没頭していました。

Cさんを見て、規則正しい生活をおくることの大切さを教えられました。朝は6時半に起床し口腔ケア、朝食を食べて貼り絵、昼食を食べた後も貼り絵、夕食後も貼り絵、就寝は21時。排泄は日中はフロアのトイレ、夜間はナースコールを3から4回鳴らし尿瓶に排尿される。見事なルーチンなのです。

「昭和2年生まれと3年生まれは、天と地ほど差がある」と言っていましたね。「昭和2年生まれは徴兵に取られ戦争に行ったもんが多かったけど、私ら3年生まれのときに戦争が終わったからな」と。実は20年前に亡くなった私の父は昭和2年生まれだったのでこの言葉が今も耳に残っていますね。「人生はいろんなことがあるわ。一番辛かったのは子供を亡くしたときやな。」「ひとつのことを一生懸命やっていけば、いいことが必ずある。」とも。

すべて過去形で書きました。そうです、先月、Cさんは90歳で亡くなられました。僅か3年のお付き合いでしたが、本当にいろんなことを教えて頂きました。Cさんのような晩年をおくりたいと心の底から思いましたね。そして、Cさんの自叙伝を残したかった。Cさん、ありがとうございました。心からご冥福をお祈りします。

sunset