ライフヒストリー良知

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自叙伝

欧米では功成り名を遂げた人たちは自叙伝を書くのが当たり前のようですが、日本では自叙伝を書くという文化がないですね。ただ、日本経済新聞の裏面でかなり前から「私の履歴書」という企画があって、著名人のライフヒストリーが描かれ、とても人気が博しているようです。ここでは様々な分野で成功した人々がその生きざまや体験、考え方などを自らの手で書くことになっているようですが、ひょっとしたら記者が聞き書きしているかもしれません。ここに載ることが今や成功者のステイタスですね。

自叙伝として歴史的に有名なのは、やはり福沢諭吉の『福翁自伝』でしょう。「日本人の自伝」という本を著した佐伯彰一は、この福沢と並んで内村鑑三の『余は如何にして基督信徒になりし乎』という自伝を日本の代表する自伝の双璧として挙げています。私は、二つの本を読みましたが、読みやすさではやはり『福翁自伝』でしょうね。

佐伯彰一は、福沢と内村以外、ベンジャミン・フランクリン、新井白石、山鹿素行、松平定信などの自伝について論じています。フランクリンの自伝は、福沢が『福翁自伝』を書くとき大いに参考にしたようです。江戸時代の政治家や学者の自伝ははっきり言って難しく読みにくい。数ページ読んだら嫌になりますね。

『福翁自伝』は現代訳が発刊されてから蘇りましたね。これが大事だと思います。自叙伝は読んでもらわないと意味がありませんね。だから、私は「ライフヒストリー良知」の文章は、話し言葉をふんだんに使って、読みやすさを前面に押し出しているのです。

読みやすい自叙伝がたくさん描かれていくと、日本人の文化として定着していくと思いますよ。

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