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なつかしさの心理学

今私は、「なつかしさの心理学」の研究に没頭しています。私はこれまでに何十年間に亘り、小学校、中学校、高校、大学、そして所属クラブの同窓会やOBの代表幹事として様々な催しを統括してきました。同窓会やOB会に参加するとなぜ楽しく喜びに満ち溢れ幸福を感じるのか、また、現在、高齢者の介護に関わる中で、なぜ、老年期になつかしく感じる気持ちが大切なのか、心理学の知見から考えしっかり理論付けたいと思ったからです。

過去に自分自身が経験した出来事を「自伝的記憶」と言いますが、この自伝的記憶によって、私たちは生まれて今に至るまでの一貫した変わらぬ存在であると感じ取ることができ、また困難にあった時にも、過去の経験を活かして適切に対処できるのです。このことから「自伝的記憶」は私たちが生きていくうえで必要不可欠なものであるといえるでしょう。

これが「なつかしさの心理学」の中に書かれている「自伝的記憶」に関する言葉です。なつかしさはこの「自伝的記憶」に残されているのです。では脳のどの部位に「自伝的記憶」があるのか?これは後日また書いていきます。

ところで、私が関わる高齢者の施設で、現在「回想法」を行っています。回想とは、まさに過去の経験を思い出すことですね。昔は、回想することは「辛い現実からの逃避や過去への執着などマイナス的なイメージがあったけれど、今は違いますね。高齢者は人生を振り返り、過去の未解決の問題を捉えなおし、再評価することで、人生の新たな意味付けがなされると考えています。

オズボーンという学者は、回想の意義として、①自分の人生を見つめなおす過程に積極的価値があること、②現在活動的でない人に過去のもっとも活き活きした話題を提供すること、③お互いに耳を傾ける社会的技術を学ぶ活動であること、④高齢になっても長期記憶を用いること、⑤高齢者に情緒を広く表現する機会を提供すること、を挙げています。過去を思い出す回想は、自分自身の成長や問題解決といったことだけでなく、他人との関係など社会的な機能も果たすようです。

なつかしさは、記憶と感情が合わさって作られています。なつかしさは、なつかしさを感じる時期の記憶に関する促進効果を持っているだけでなく、気分や記憶に関する評価まで影響を及ぼしています。そして、私たちがなつかしさを感じた時、当時にタイムスリップしたように記憶が思い出される体験は、なつかしさによる記憶の活性化があるからなのです。

ライフヒストリー良知は、お客様にこのなつかしさを呼び起こして頂くサポートの仕事をしているのですね。

孫4人(4)