ライフヒストリー良知

良知の知識と智慧

昭和史-平成史 / 書籍

≪歴史とは何か≫

【岡田英弘(東京外国語大学名誉教授)】
●歴史は、人間の住む世界の説明である、時間と空間に沿い、一個人の体験を超えて把握することだ。
●人間は、時間を直接認識できない。1日、1月、1年、1年超・・・なにかを基準に時間をはかる。
●歴史を成り立たせる四つの要素とは時間の概念、時間を管理する技術、文字、因果律の観念である。

≪歴史とは何か≫

【E・H.カー(歴史哲学者)/〔訳〕清水幾太郎(社会学者)】
●歴史とは、歴史上の事実を明らかにし、これを解釈の過程を通して征服する歴史家の心の主観的産物であると考える。
●歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きぬことを知らぬ対話なのだ。

≪昭和史≫

【中村隆英(東京大学名誉教授)】
●日本の現代を考えるとき、1920年ごろ始まって、戦時、戦後の計画化と窮乏を経験し、その後の連合軍の占領と「民主化」とを経て、1955年ごろに、ほぼ戦後の経済成長の条件が整うところまで、ひとつの時代としてまとめることができる。この時期3つに区分される。1920年から30年代前半までの混沌としているが、さまざまな可能性を秘めていた時代。35年から敗戦の45年までの戦争と破壊の時代。これからその後55年までは、民主化と経済復興の時代だった。1955年以後の時期も、大きく3つに分けることができる。政治的には高度成長が続く1973年のオイルショックまでの時期。第2時期は、オイルショック後の調整の時代からプラザ合意の1985年まで10年あまり続く。プラザ合意後の日本は新しい局面に踏み込んだように見える。それは、国際的に日本の地位が決定的に変わったことを意味し、国内においても重要な変化が始まった。

≪歴史の方法≫

【色川大吉】

●歴史家が歴史叙述にとりかかるためには三つの段階を踏まなくてはいけない。すなわち、
(1)歴史の史実を選び出す。
(2)歴史的史実を使って、それを組み合わせ、組み立てて、一定の歴史像を構成する。
(3)その成果を生かして表現する。
①歴史家にはフィクションを使う自由はない。
②全局面、全体性との関連を失ってはならない。
③表現に使う言語について既に証明済みのルールに従って尊重して使わなくてはならない。
④時代の枠を超えないようにする。
*歴史家と作家の違いは目的に違いである。

●学者の書いた歴史書は、とかく難解で、表現における柔軟性に欠ける。平易な文章による読みやすい歴史叙述を心がけようとはしない。

≪ある昭和史≫

【色川大吉】
●私たちは何のために過ぎ去ったこの半世紀をふりかえろうとしているのだろうか。それは私たちが今まであまりにも忙しすぎて、ほんとうにしみじみと過去をふりかえり、自分を歩んできた道に想いをひそめてみることがすくなかったからではないか。

≪記憶から歴史へ(オーラルヒストリーの世界)≫

【ポールシンプソン】
●歴史は究極のところ、その社会目的に支えられている。
●あらゆる種類の人々の人生経験が、生の資料の人生経験として歴史研究に使われるようになれば、新しい方向性が歴史に与えられる。オーラルヒストリーは刊行された自伝と非常に似通った歴史史料であるが、自伝よりはるかに広い範囲に及んでいる。
●よりよいインタビューアーになるためには、人間関係を理解することなど、新しい技術が歴史家に要求される。
●歴史家は学ぶためにインタビューに行き、異なった社会階層のの出身者であまり教育を受けていない人々、何かについて自分たちよりもよく知っている老人の足元に座るのである。
●歴史の再構成は、それ自体もっと広範な共同作業に基づく過程となり、そこでは専門家でない人々が決定的な役割を果たす。書くことと、書いたものをあらゆる種類の人々に提示することを中心することによって、歴史ははかりしれないものを得るのである。
●同時に、年老いた人々が特に恩恵を受ける。
●オーラルヒストリープロジェクトは、老人たちに新たな社会的接触をもたらすだけでなく、時には長く続く友情をもたらすこともある。あまりにも頻繁に無視され、経済的にも無力にされていても、彼らの人生を振る返り、若い世代に価値ある情報を伝えることによって、老人たちは尊厳と目的意識を獲得するのである。