ライフヒストリー良知

良知の知識と智慧

記憶・脳科学 / 語彙

想起

想起するということは、脳のネットワークを再構成する過程のことで、過去を文字通り再生するものではない。人は、想起した過去の経験について、過去の事柄の正確な再生ではなく似通ったものであるときでも、的確であり説得力のあるものとして受け入れていく。

シータ波

海馬は記憶のカギを握るたいへん重要な働きをする「記憶の司令塔」で、海馬から発せられる脳波のこと

アセチルコリン

記憶に必要な神経伝達物質で、筋肉を動かす指令を送る神経細胞シータ波を作り出す物質

認知

外界からの情報を受け取り、それを処理・加工して、ある種の判断をした上で、実際の行動を遂行する精神機能の総称

記憶の5段階

◆記銘(覚える:外界の情報や経験を取り込む)
◆保持(覚えておく:記名された内容を蓄えておく)
◆想起(思い出す:保持された内容を引き出す)
◆認識(気づく:想起された内容に注意がむく)
◆忘却(忘れる:想起されたものをなくす)

記憶の種類

◆短期記憶海馬に保存され前頭葉の働きで再生
 ★即時記憶情報を受け取った瞬時に始まり保持されたもので、30秒以内で消える記憶
 ★作業記憶【ワーキングメモリー】即時記憶を能動的に繰り返し復唱し、数分にわたって保持する記憶。
◆長期記憶
(陳述記憶)
 ★エピソード記憶過去の自分の経験や出来事に関係した記憶。最終的には皮質のいろいろな場所に散らばり、前頭葉の働きによって想起
 ★意味記憶知識など抽象的な記憶。側頭葉の皮質で記号化され、想起は前頭葉の仕事。
 (非陳述記憶)
 ★手続きの記憶体で覚えるものごとの手順の記憶。小脳と被殻で貯蔵され、身体にしみこんだ習慣は尾状核で貯蔵。
 ★プライミング解釈や状況判断などを迅速に進めるための記憶。
 ★恐怖記憶恐怖症やフラッシュバックなどで扁桃体に貯蔵。

記憶の階層

エピソード記憶(顕在記憶)
短期記憶(顕在記憶)
意味記憶(潜在記憶)
プライミング記憶(潜在記憶)
手続きの記憶(潜在記憶)

◆下の階層であるほど、生命の維持にとって重要な原始的な記憶であり、上の階層ほど高度な内容をもつ

メタ記憶

自分が自分自身の記憶状態や記憶活動に関して意識を向け、記憶に対する評価や判断をすること

符号化(コード化)

聞き取った情報、出会った対象物などについて、対応し、処理し、記憶として貯蔵する準備の過程のこと。符号化が精巧で深く行われれば、符号化が限定的で浅薄に行われる場合に比べて、記憶はよりよく保存される。

記憶の強化

勉強する理由、興味や好みとなるものがあればあるほど、学習の瞬間に全力をあげて集中すればするほど、記憶は強化される。

長期増強(LTP)

スウェーデンの神経生理学者ブリスとレモは、シナプス結合の増強が記憶を長期的に持続する現象を発見した。これをLTP(long-teampotentiation)という。

グルタミン酸

海馬における神経伝達物質。海馬ではシナプス電位をつりあげる作用をする。

海馬

大脳辺縁系の一部で側頭葉の内奥に位置している。様々な情報を収集し、それを統合したり取捨選択したりする記憶の司令塔として働く。
無題

大脳皮質の機能(視覚・読解・記憶)

記憶(1)

感情

生理的・身体的体験と心理的・認知的体験の両方を含んだ複雑な状態。モチベーションとの間に密接な関係がある。

グリア細胞

脳内にみられる細胞の一種。ニューロンよりも数が多く、ニューロンが正常に機能するように助けている。

軽度認知障害

加齢によって影響を受ける健常な認知力低下と、アルツハイマー病やほかの認知症の間にある過渡的な障害段階。軽度認知障害には、認知症に進展する場合と、最終的にそこまで進展しない場合がある。

交感神経系

“逃げるか、戦うか”といった危急の状況をコントロールする神経系。血管を収縮させたり、瞳孔を開かせたり、心拍数や心臓収縮力を増やしたりする機能がある。

視床下部

大脳辺縁系の一部。視床下部は体温、空腹、睡眠を、主にホルモンの分泌によってコントロールしている。

シナプス

ニューロン同士神経伝達物質というかたちの化学物質を交換しているところ。各々のニューロンのほかのニューロンにつながるシナプスを1万ほど持つことができる。

シナプス新生

ニューロンをつなぐ新しいつながり(シナプス)ができるところ。

神経可塑性

脳が自らを再編成していく能力。生涯にわたって維持される。

神経成長因子

ニューロンを維持したり修復したりするのを助ける物質の一部。

ストレス

自身で調整できる許容量を超えた要求が含まれる体験や状況をきっかけに起こる一般的な感情。

大脳辺縁系

感情の処理、記憶の調整、ホルモンの産生、性的な昂ぶりやサーカディアンリズムのコントロールを共同で行ういくつかの組織(偏桃体、海馬、視床下部など)の集まり。

ニューロン新生

生涯を通じてニューロンが生まれ続けるプロセス。

認知的刺激

脳にチャレンジを課すことで神経可塑的変化を起こさせる行為を生涯にわたって行う脳へのかかわり。

認知的予備力

人によって認知的老化と認知症の激しさに相当差が出てくるとする理論。日々のメンタル的な刺激、受けた教育や就いた職業の内容が、脳疾患や認知力に及ぼす影響を緩和する認知的予備力を構築する要素になると考えられている。

認知トレーニング

目的とする脳内ネットワークや認知能力を構築するためにデザインされた方法論を体系的に活用することを指す。その目的は、特殊な脳機能や認知力全般を改善することにある。

認知能力

何かの認知課題を行うときに必要とする脳機能に基づいた技術。今ある技術を使うより学んだり思い出したり、注意を向けたりするといったメカニズムを使うものが多い。例えば、記憶力、注意力、言語能力など。

副交感神経系

唾液分泌、排尿、性的な昂ぶり、消化など、身体が“休息し、消化する”ときの活動をコントロールしている神経系。

へブの法則

一緒に発火したニューロン同士がつながっていく原理。同時に活性化することが頻繁に起こるニューロン間にはつながりが生まれる傾向があり、それが続くと、ニューロン同士が接続する。

偏桃体

大脳辺縁系のいち側頭葉内側に位置する脳部位で、感情、特に恐怖や不安の処理と記憶において中心的な役割を担っている。

前頭葉

人を人たらしめている脳の中心。目標を定めて計画をたてたり、優先順位を決めたり、計画を実行に移し、結果を評価したりする。記憶を貯蔵する場所。

ブローカ野

左半球の前頭葉下部にある領域で、発話や書字の機能を担う言語中枢の一部。自分の考えを話し言葉や文章にして表現する際に働く。

ウェルニッケ野

相手の言葉や自分自身が言っていることを理解したり、文字を読んで理解したりする際に働く。

メモラビアン

記憶する価値がある事柄

エビングハウスの忘却曲線

ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスの記憶の忘却に関する研究。ある記憶は短命寿命で数分間しか保持されないが、他の記憶は長寿命で数日から数ヶ月も持続すること。また反復すると記憶をより持続できるようになることを提唱した。

古典的条件付け

ロシアの生理学者イワン・パブロフは、動物実験によってベルの音と食べ物の提示といった二つの出来事を関連付けた。ベルが鳴るといつでも食べ物がなくても唾液を出すようになり、ベルが食べ物の到来を予想することを学習した。

オペラント(道具的)条件付け

アメリカの心理学者エドワード・ソーンダイクが提唱した動物の精神的能力に対する学習の研究。動物は正しい反応と報酬を、もしくは間違った反応とそれに続く罰を関連付けることを学習し、徐々にその行動を修正していくというもの。

記憶はどこに保存されるか?

ハーバード大学の心理学者カール・ラシューレ教授による動物実験の結果、「脳にはすべての記憶が恒久的に保存される単一の中枢は存在しない。記憶表現には多くの脳部位が関与している。」した。

話す脳と書く脳

脳には5つの連合野の働きがある。
体を動かす指示をする運動連合野,感覚情報を分析し,空間を認識する頭頂連合野,視覚,言語機能など視覚情報からより有用な情報を引き出す後頭連合野,思考・学習・推論・意欲・情操・理性・表現などと人特有の知性,感情,意志で人間らしさを司る前頭連合野と形の認識,記憶,聴覚などの中継となる側頭連合野で構成されている。
また,右脳と左脳のはたらきも異なる。右脳は話すこと,音楽,表情や絵画の構成など姿勢やバランスを保ち,左脳は計算,声や音の認識,会話,読み書きなど運動脳として働く。

自伝的記憶

エピソード記憶の一種で、自分の人生において体験してきたいろいろな記憶。エピソード記憶の中でも、特に印象が強かったものが自伝的記憶に変化する。この記憶は長時間にわたって忘れることはなく、一生覚えている場合もある。ただし、美化したり、自分の思うように書き換えられる傾向にある。

レミニッセンス・バンプ

青春時代の記憶を突出してたくさん思い出す現象。これは「強い感情を伴うできごとは、記憶しやすく思い出しやすい。」という記憶の特徴があげられる。

自伝的記憶を調べる方法

自伝的記憶を調べるためには、自分が経験した過去の出来事に関する記憶を想起してもらわなければならない。使用させる方法は、
◆手がかり法
手がかりとして、匂い、写真、音楽などが使用される。また、あるテーマを提示し、それに関する出来事を思い出してもらう方法。例えば鮮明に覚えている出来事、重要な出来事、感情を伴う出来事。
◆日誌法
毎日自分が経験した出来事の内容やそれに伴った感情に関する記録をつける方法。
◆ライフヒストリーを語る法
これまでの人生を振り返って、自らのライフヒストリーを語ってもらう方法。その際、自由に語ってもらうこともあれば、何らかのテーマに関する内容を語ってもらうことがある。

ナラティブ

自分の記憶の語りのこと

親近性効果

最近の出来事ほどよく想起され、現在から時間が離れた出来事ほど、思い出しにくくなるという傾向がみられる。

幼児期健忘

誕生から3~4歳までの出来事をほとんど思い出すことができない現象をさす。

最初期記憶

自分が覚えている最も昔に経験した出来事に関する記憶

自伝的記憶の機能

人が過去の出来事を思い出すときに、それをどのように使用しているのか、その役割はどのようなものかの、3つの機能
◆自己機能
自伝的記憶を思い出だすことによって、自己の連続性や一貫性が保たれたり、自己評価が維持され
たりすること。
◆社会的機能
会話の際、人は自分け過去の経験を相手に伝え、共有することを行う。このことが対人的コミュニケーションを促進する働きを持つ。
◆方向づけの機能
自伝的記憶を思い出すことは、個人の態度や価値観に影響を与える。