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行動遺伝学 / 語彙

◆行動遺伝学
その名の通り、行動についての遺伝学であり、「行動科学」と「遺伝学」の架橋領域である。行動科学はかつて心理学を指していたが、ここでは人間の様々なレベルの行動に関する科学的研究全般を指しいち、心理学、精神医学、社会学、最近では行動経済学なども包含する概念と考えてよい。

◆行動遺伝学の三原則
第1原則:人の行動特性はすべて遺伝的である。言いかえると行動にはあまねく遺伝の影響がある。(遺伝子の影響の普遍性)
第2原則:同じ家族で育てられた影響は遺伝子の影響より小さい。すなわち共有環境の影響はほとんど見られない。(共有環境の希少性)
第3原則:複雑な人の行動特性のばらつきのかなりの部分が遺伝子や家族では説明できない。すなわち個人差の多くの部分が非共有環境から成り立っている。(非共有環境の優位性)

◆双子児法
一卵性双生児はひとつの受精卵から生まれた双子で遺伝子情報は全く同じと考えられる。もし二人がよく似ていたとしたら、それは遺伝による可能性が高いことになる。しかし、二人が同じ家庭で育っていたら共有する家庭環境からも似てくる可能性がある。

また同時に同じ家庭で育った二卵性双生児の類似性を調べる。二卵性双生児は、二つの受精卵から生まれた双子で、ふつう受精卵はひとつひとつ別々に出来上がるので、二卵性双生児とはふつうのきょうだいが同時に生まれたのとほぼ同じ。従って似かたもふつうのきょうだいと同じくらい。

二卵性双生児やふつうのきょうだいは、お互いに遺伝子を半分程度共有している。なぜなら自分の持つどの遺伝子も、父や母がもともと2つずつ持ってペアで持っていた遺伝子の半分を、ババ抜きのように確率的に受け継いだもので、自分のある遺伝子と同じ遺伝子をきょうだいが持つ確率はふたつに一つ、つまり半分(50%)になる。それがすべての遺伝子に言えるため、遺伝子類似性も全体的には50%が期待できる。

このように、一卵性(遺伝子類似性100%)と二卵性(50%)では、遺伝の類似性が2倍も違う。しかし育った環境は同じ。従ってもし二卵性双生児に比べて一卵性双生児が似ていたら、それは遺伝の影響によるものだと推測できる。

◆共有環境
遺伝要因とは別に家族のメンバーを類似させるような環境
◆非共有環境
家族のメンバーをひとりひとり異ならせるような環境

例えば、体重について、もしすべての家庭で、家族が常に同じ食べ物を、本人の好みや生活習慣に拘わらず、いつでも同じ量だけ食べるというようなことがあれば共有環境の影響があったかもしれない。しかしそのようなことは考えにくい。むしろ同じ屋根の下で暮らす一卵性のきょうだいでも、ある程度の好みや食習慣の差異のある方が自然。従って体重の場合は、「非共有環境の影響はあるが、共有環境の影響はない」と考えられるわけだ。