ライフヒストリー良知

3-2 カタルシスとエンパワーメント

私たちライフヒストリアンは、お客様にインタビューをした後に「今日はありがとうございました」と言ってお礼の言葉を述べるのですが、その際、多くのお客様が「今日は昔話ができてほんと楽しかった」「なにか気持ちがすっきりした」「心に引っかかっていたものが取れたような気がする」といった言葉を述べられています。これがカタルシス、心の浄化という意味があります。

カタルシスは、語り手であるみなさまと聴き手であるライフヒストリアンとのコミュニケーションを通じて、過去の出来事や体験を振り返り、言葉にして口に出すことによって生じてきます。

また、語り手がこれまで作り上げてきた人生の物語をライフヒストリアンが共感し共鳴しながら聴くことによって、語り手に対する勇気付けや力付けができることをこれまで幾度となく経験しています。このことをエンパワメントといいます。 

語り手をエンパワーすることで、語り手は「これまで私の人生、いろんなことがあったけど、これで良かったのだ」「家族やお世話になった人たちへの感謝の気持ちがますます湧いてきた」、「将来の子孫たちが自分の生きざまをどう思うだろうか、自伝ができるのが楽しみだ」といったようなお話もされます。

語り手へ、カタルシスとして、またエンパワメントとしての聞き書き、これが口述自伝を制作する大きな目的のひとつなのです。