ライフヒストリー良知

4-3 日本語表現技術

みなさまのライフヒストリーを書籍や電子ブックにして発刊するために、私たちライフヒストリアンは、聞き書きによって書かれた文章が、みなさんの心をとらえるものでなければならないと思っています。 

私たちは、この事業を推進するために、作家・野間宏氏〈文章入門〉、心理学者・波多野寛治氏〈文章心理学〉、ジャーナリスト・本多勝一氏〈日本語の作文技術〉、作家・丸谷才一氏〈文章読本〉、日本語研究学者・中村明氏〈文章上達事典・名文ほか〉、言語学者・石黒圭氏〈文章表現の技術ほか〉、ジャーナリスト・和多田進氏〈聞き書き技術試論〉など、数々の著作をベースに日本語表現技術についての研究・研鑽を行ってきました。

人が人に惹かれる要素とは何でしょうか? 相手に美しさや偉大さなり、それ自体に惹かれるというよりは、そういう美しさや偉さを持った人物自身の発散するある種のにまるごと参ると考えたほうがいいですね。読者が、ある作家、ある作品を好きになるというのも、おそらくそういうことではないでしょうか。

語り手の考え方や生き方を共感しながら聴いて、その人柄が自然ににじみ出るような文体でライフヒストリアンが書き記していく。そこには語り手の聴き手の一体感があり、その雰囲気を醸し出すことに読み手は感動するのだと思います。ライフヒストリアンはそんな雰囲気を身につけなければならない。それが名文を生み出す秘訣だと思っています。 

かといって、美しい文章を書くというのは、そんな簡単なものではないことも身に染みてわかっています。数々の名文の事例を研究し、分析し、効果を考えながら取り組んでいくことが大切です。そして、それらをライフヒストリアンの潜在的な意識のなかに落とし込み、名文が飛び出す豊かな土壌を作ります。それによって、みなさまに心から喜んで頂ける名表現で綴られた書籍ができあがります。